続・らくがき日記

漫画家志望 趣味や日常も書きます 受賞歴はプロフィールから

偽りは誰がために

こんにちは
お久しぶりです
昨夜、宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』を読み終わりました 

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

 

 

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第II部 決意

 

 

ソロモンの偽証 第III部 法廷

ソロモンの偽証 第III部 法廷

 

三巻もあり(文庫版だと6巻)、合計すると約2000ページ!
こんなに長い小説を読んだのは初めてでしたが、面白くて飽きるなんてことはありませんでした
と言うか、宮部みゆきさんの作品がわたしの好みにぴったりなんでしょう

 


簡単なあらすじを書くと「中学校の同級生が学校から飛び降りて亡くなった それは自殺だったのか、他殺だったのか 真実を同級生たちが裁判で突き止める」というストーリー

かなりざっくりしたあらすじだとこんな感じなのですが、裁判に至るまでの過程がとても丁寧に描かれていて、一見関係ないようなエピソードも、のちのち裁判に関わってきます

 

そして、登場人物が結構多いです
オムニバス形式で書かれていますが、この物語の主人公は、藤野涼子という成績優秀、容姿端麗(そしてファザコン)な少女と言っていいと思います
その他に彼女の同級生である野田健一くん、裁判が始まる前に出てくる神原和彦くんが重要な人物になります

 

亡くなった同級生は柏木卓也くんという少年なのですが、彼の死を巡って同級生や周りの大人たちの心境が非常に丁寧に描かれています
先ほど、オムニバス形式で…と書きましたがいろんな登場人物の気持ちを一人ひとり掘り下げるような文章で、読んでいて惹き込まれます

 

出てくる登場人物はみんな個性がありますが、少しずつ共感できるところや、納得できるところがあり、とても印象に残るので、フィクションだと判りつつも実際に存在しているかのような現実感があります

 

出てくる登場人物たちは、割と優秀な子供たちが多いので(そうでなければ、自分たちで裁判をしようとは思いつかないでしょう)、非現実的だと思う方も居ると思いますが、わたしはそうは思いませんでした

 

意外と、10代の子と接する機会があると「しっかりしているなあ わたしがこの年齢のときなんか、もっと気楽に生きてたわ」と思うことが多いのです
逆に自分よりうんと年上のひとと接しているとき「案外子どもなのかしら」と思うことも同じくらいあります…個人的感想ですが

 


この作品はミステリー小説だと思っているのですが、事実から真実を明らかにする物語は何度も同じ出来事が確認するように繰り返し出てきます
それと同時に、新事実が浮上してくるのです なので、こんがらがらず、今までの出来事を振り返りながら最後まで楽しむことができました

 

1巻目は、事件の発端 登場人物たちにどんな心境の変化があったのか、そこから、どんな影響があったのか描かれます 因みに、この時には裁判のことは出てきません

2巻目は、1巻の雰囲気と比べると少し明るいです 柏木卓也くんの死から時間が経ち、自分たちで何をするべきなのか、中学生の登場人物たちが立ち上がります ここでおのおののキャラクタ像のようなものが見えてくるんです

 

宮部みゆきさんの扱う題材は重たいものでも、文章にちょっとユーモアがあって…なんというか、エピソードの一つひとつが落語のようにすっきり収まっています お陰でページをめくる手が止まりません

 

3巻目は、いよいよ裁判が始まります 殆どが裁判の描写しかなく、証人を尋問する場面が続きますが、とても整理されていて非常に読み易かったです


ラストシーンは、かなりあっさり終わっている印象があり、読んでいるうちにいろんな登場人物に思い入れが強くなっていたので、彼らの今後を知りたいな~という気持ちもありましたが、それは蛇足かもしれないな…と思いました
だらだら物語が続くより、ちょっと想像できるくらいの方がいいかな、と


裁判の結果については、誰も悪者にならかったのに好感が持てました
中学生だったし「人生に意味がある」証人が最後の尋問だったので、この後の展開が暗い結末だったら、この物語のテーマに納得出来なかったと思います


人生は変化する 可能性がある


ネタバレを避けて言うのであれば、人間には多面性があり、時期によって悪い部分や善い部分が出てくるけれど、悪い部分が出てきた時、相手や自分を傷つけた場合には背負って生きていく覚悟が必要なのではないかと思いました
相手や自分を傷つけたからといって、人生は簡単には終われないし、逃げられない 終わらせるには「死」しか残っていないのではないでしょうか

傷つけた過去は忘れられないし、忘れてはいけない そしてその傷は生涯消えることはないんだと思います
良くも悪くもその捉え方次第で人生には意味があるのか、大分変わってくるのではないでしょうか


この話に出てくる中学生たちはもやもやとした不安な気持ちを解決させるために、裁判をすることを決意します

自分の生活でも、これ以上解決しようがないものだと解ってはいるけれど、気持ち的にはもやもやが残り、けれどその気持ちを放ったらかしにして、感情をこころの奥にしまい込むことがあります

なぜ放ったらかしにするのか…いちいち感情的になっていたら、社会では生きていけないからです


時には我慢するべき状況もあるでしょう(それも割と多く)


でもそれが大きな出来事に発展する可能性があるとしたら…今後、自分の人生が変わるようなきっかけだったのだとしたら…看過するべきではない場合もあるかもしれないですね

面倒なことであればあるほど、感情や真実(事実ではなく、動機のことだと思っています)に向き合わないことが多いですが、ほどほどが大切だよね~なんて、この小説を読んだあとに自分なりに思いました


もしかしたら、もやもやとした感情に言葉をつけて意識し始めるのはこの登場人物たちのように中学生の頃かもしれないですね
尚且つ、ちょっと自意識過剰で、こんなことを考えているのは自分だけだと思ったり、そんな自分を特別だと思ったり

大人になると案外そうでもないし、世の中はもう少し複雑で、そう簡単に善悪で分けられるものでもないと解りますが、この小説のように自分たちの気持ちと向き合う描写には、こころが何度も動かされました

特に! 野田くんが!!! 野田健一くんが!

彼がこの物語の中でいちばん成長する人物だと思うのですが、野田くんのこと、すっかりすきです 応援したくなるんですよ…!!


他にも魅力的なキャラクタがたくさん出てきました
映画があるみたいなので、今度時間のありそうな時に観てみようと思います~

ではでは久しぶりの読書感想文(?)でした
お付き合い頂き、ありがとうございます

きょうはこの後、展示について更新しようと思っています もし良かったら、そちらもお付き合い下さいませ