続・らくがき日記

漫画家志望 趣味や日常も書きます 受賞歴はプロフィールから

少年記者に理想をこめて

こんばんは
突然ですが、わたしは「タンタンの冒険」シリーズがだいすきです

 

 f:id:ooooofuchi:20161228212824j:image

<集め途中のタンタンシリーズ>


このタンタンシリーズ、図書館の児童コーナーなんかに置いてあります
わたしは、小さい頃本を読むのが苦手な子どもだったので、去年からハマり始めました

 


なぜハマったのか?

まずは第一印象、絵の上手さ

物や人物の正確さ、考えられた構図や色彩に「子ども向けだからと言って、子どもを軽く見ていないぞ!」という好印象(大人になってもこういう気持ちを持ってしまう…)


そして読んでみると、ギャグは頻繁に出てくるものの(大抵はドタバタ系です)、ストーリーの内容に麻薬組織が出てきたり、当時の時事問題を反映しているものが多く「どうして子ども向けの作品で、こんなストーリーを描こうと思ったんだろう?」と強く興味を持つようになりました

 


それからはタンタンシリーズを図書館でほぼ読破し、いまはシリーズを集めながら楽しんでいるのですが、タンタンを描いた作者 エルジェ についてもっと知りたくなるようになりました

そんな中でいろいろ調べている中(情報源はほぼネット)、『タンタンと私』というエルジェのドキュメンタリー映画があることを知りました

 

 

f:id:ooooofuchi:20161228212848j:image
<こっちを覗いているタンタンがとっても可愛い>

 

この映画は1971年、とあるフランス人大学生がエルジェにインタビューをした時のカセットテープを中心に作られており、とても興味深い内容でした

 

 

ちょっと補足をすると、作者のエルジェはベルギーの出身です
ベルギーの公用語はフランス語なので、タンタンシリーズの原作は全てフランス語で書かれています

因みに、フランス語圏の漫画は「バンド・デシネ」と言われており、エルジェは<ヨーロッパ・コミックスの父>と呼ばれています
ベルギーの首都、ブルュッセルは今でも漫画の文化が盛んでコミックスは「アート」として認識されています

 

 

f:id:ooooofuchi:20161228212903j:image

で、『タンタンと私』の話に戻りますが
昨日、アマゾンで購入しまして、本日届きまして、さっき観ました(笑)

面白かったです…そして、エルジェは完璧なタンタンを理想として描きつつ、自分とのギャップに長い間苦しんでいたのではないかな~と思いました


エルジェは幼い頃からカトリックの教育を受け、正義と道徳を強く意識した少年時代を送っていました
昔から、完璧な人間になることを目指して生活していたんですね…


恐らくですが、随分大人になってからも世の中のグレーゾーンというものを知らず、白と黒だけで世の中を見ていたのではないか?とも思いました
約束を守れなかったことがあると、強い罪悪感に悩まされたそうです 「人間は完璧ではない」ということを知るのにかなりの時間がかかりました


どのような人物が完璧というのかは、タンタンを読んでいるとすぐに判ります
勇敢で、正義感に溢れていて、みんなから慕われ、尊敬される人物になりたかったんだと思います


タンタンはカトリック系の新聞に付いていた子ども向けの付録、「プチ20世紀」に掲載され、後に何十年も続く大人気シリーズになるのですが、その新聞の編集長であったワレ神父はヒトラーを敬愛していたカトリック信者でした…その影響が後々、エルジェを苦しめることになります

 

正義感が強いエルジェ、ヒトラーを敬愛し、カトリック信者だったワレ神父、そして戦争がこの時代にはありました

 

タンタンシリーズの初期作品を見ると、とある国を強く批判していたり(実は日本も批判されている作品があります)、やや偏った考えが反映されていたりします
このことについては、エルジェも後年「反省している」と言っているのですが(これは別の本で読みました)、エルジェがそれだけ、ピュアな人物だったからこその描写ではないのかなって思うんです


タンタンシリーズはそれから徐々に、新聞社的な考えを強く押し出していくストーリーから、謎を解きつつ世界を飛び回る冒険活劇のストーリーが展開されるようになります

 

第二次世界大戦後、ドイツの占領下でも仕事を続けていたエルジェは、ナチスの協力者ではないかと批判され(勿論、そんなことはありません)、4回も逮捕されています
エルジェは逮捕されてから「友達が一人もいなくなった」と言っていました
こんなにひとが離れていくって理不尽な出来事だと思います……


ベルギーがドイツ軍に侵略されてからは、タンタンシリーズが掲載されている新聞が廃刊になりました
情報を扱っている媒体はすぐにこういう扱いを受けてしまうんですね…


そしてタンタンの活躍は新聞から「タンタン・マガジン」に変わりました
「スタジオ・エルジェ」も設立され、エルジェは信頼できるスタッフと共に、スタジオでタンタンシリーズを描くことになったのです


そのスタジオで働く女性に、エルジェは妻が居るのにも関わらず、恋をしてしまいます
ただ、エルジェのその奥さんは元々ワレ神父の秘書であり、ワレ神父に薦められて結婚した相手でした

映画を観ていて思ったのですが、エルジェの初恋は、この時だったのではないかと思います(タンタンシリーズに出てくる女性キャラが、極端に少ないのも関係している?)


しかし、カトリック信者であったエルジェは、このことにとても苦しみました 真面目で完璧主義者であったエルジェは、わたしたちの想像を超えるほど辛かったのではないかと思います


後に離婚をしますが、その時にやっと「人間は完璧ではないんだ」と自分を受け入れられるようになり、人との交流も増えていきます

けれども、大人気タンタンシリーズの作者であるエルジェは、期待される次回作のプレッシャーがいつも重くのしかかっていました

 

エルジェは生涯、自分のことを成功者だとは思わず、コンプレックスを抱えたままこの世を去ったのだと思います…

 

「タンタンの冒険」シリーズで描かれる勇敢な少年は、世界中で尊敬され華々しい世界を生きているように見えます
作者、エルジェの人生はどちらかと言うと、辛く、苦しい出来事が多く、作品のイメージとのギャップにとても驚きました


この記事に書いたことは、ほんの一部のことで、映画を見ると「あのお話は、エルジェのこの時の気持ちを表したものかもしれない…」と思えるような解説がたくさん出てきて、今すぐにでも作品を読み返したくなるようなエピソードがたくさん出てきました


タンタンシリーズを知っていなくても楽しめる内容だと思いますが、知っているとより興味深く観れる内容です
とても濃い75分でした


今回も長くなってしまった
もう少し短くできないものか

ではでは本日はこの辺で
お読み頂きありがとうございました メルシー♡